バーキンの人気素材エプソンとは？特徴や他素材との違いを詳しく解説

多くの女性が憧れるバーキンは、革の素材によりさまざまな表情を見せてくれます。なかでもエプソンはどのようなシーンにでも合う万能な定番素材の1つです。

こちらの記事ではエプソンの特徴やお手入れ方法に加え、使用シーンごとにどのようなエプソン素材のバーキンが合うか詳しくご紹介！バーキンの素材で迷っている方は、ぜひ参考になさってください。

バーキンの定番素材エプソンとは？その歴史と特徴

人気素材だったクシュベルの後継として誕生したエプソン。バーキンだけでなく多くのエルメス製品に使用され続けています。

ここではエプソンの具体的な特徴だけでなく、クシュベルやほかの人気素材との違いを詳しくご紹介します。バーキンの素材で迷っている方は、ぜひ参考になさってください。

エプソンは人気素材クシュベルの後継

エプソンは正式には「ヴォー・エプソン」と呼ばれ、雄仔牛の皮から作られる素材です。「仔牛」という意味の「ヴォー」を省略し、「エプソン」と呼ばれる場合もあります。牛革の型押しレザーのなかでも長年人気だったクシュベルの後継として、2003年にエルメスの素材として追加されました。

クシュベルは細かい革目の型押しが施されており、上質感ある見た目が特徴です。比較的軽量で傷や擦れに強く、耐水性・耐久性も高く扱いやすい素材として人気がありました。

クシュベルの後継となったエプソンは、今では多くのエルメス製品に使われています。

なお、現在クシュベル素材は廃盤となっています。運が良ければ二次流通市場で見つけられるかもしれません。

エプソンの特徴

エプソンは細かい革目の型押しが施されており、軽量でありながら汚れや傷に強い素材です。牛革でありながら耐水性にも優れ、お手入れもしやすい点が特徴です。そのため、バーキンやケリーなどのバッグだけでなく、財布などの小物まで多岐に使われています。

張りのある硬めの質感と、豊富なカラー展開もエプソンの魅力です。ほかの素材に比べて色の彩度が高く、ワントーン明るく見えます。

また、しっかりとした硬さがバッグのフォルムを長く維持するため、型崩れが起こりにくいというメリットもあります。エルメスの高級感を損なうことなく長く使えるとユーザーからも高評価を得ています。

一方、エプソンは化学薬品を使うクロムなめしにより、酸化や経年変化がほとんど起こりません。「自分好みの革製品を育てたい」と考える方には向かないため、革の変化を楽しみたい場合は、トゴやスイフトなど別の素材をチェックしてはいかがでしょうか。

エプソンとクシュベルの違い

クシュベルとエプソンはよく似た特徴を持っていますが、型押しの深さと光沢感に違いがあります。

クシュベルとは異なり、エプソンにはガラス加工がされていません。そのためエプソンの光沢感は控えめで、クシュベルと比べるとマットな仕上がりです。

また、クシュベルの光沢感は見る角度により色味が変わります。特に定番色のゴールドや明るいイエローは、エレガントで美しい発色と光沢から人気が高いカラーでした。

バーキンのほかの素材とエプソンの違いは？

エプソンはバーキンをはじめ、さまざまなエルメス製品に使用されています。ここではバーキンの定番素材とされているトゴとトリヨンクレマンスとの違いを解説するとともに、エプソンに似た特徴を持つ別の素材もご紹介します。素材によって特徴も異なるため、ぜひご確認ください。

定番素材トゴとの比較

正式名称は「ヴォー・クリスペ・トゴ」という、1997年に誕生してからバーキンに限らず多くのエルメスコレクションで使用されている素材です。エプソンと同じく雄仔牛の皮から作られ、いくつか似た特徴を持ちます。

エプソンとトゴは、見た目と手触りが異なります。トゴは深く細かなシボに加え、血管の通り道だった血筋が特徴です。手触りはエプソンよりも柔らかいですが、適度な張りが感じられます。

定番素材トリヨンクレマンスとの比較

古くは「ムー」と呼ばれていたトリヨンクレマンスは、雄牛の皮から作られる素材です。大きめのしわと柔らかくマットな質感、適度な張りが特徴で、傷や擦れに強い点がメリットです。

耐久性の高さなどエプソンと似た特性を持ちますが、水分には弱いため注意しましょう。

また、エプソンは比較的軽量な素材で型崩れは起きにくいですが、トリヨンクレマンスは重さがあり型崩れしやすい素材です。しかしその一方、革の持つどっしりとした重量感や独特のソフトな質感を楽しめる素材でもあります。

エプソンに似た素材は？

エプソンは上品な見た目と扱いやすい性質が人気です。ここでは、エプソンに見た目が似ている雄仔牛の型押し素材をいくつか紹介します。

ヴォー・マダム

革目と控えめな光沢がエプソンとよく似ていますが、エプソンよりもきめの細かい型押しが特徴です。主にバーキンセリエやコインケースなどに使用され、硬めの直線的なフォルムに定評があります。

グランアッシュ

2012年に登場し、規則正しく並んだ型押しと控えめな光沢が特徴です。硬めの素材ですが、細かなプレス加工が艶やかな手触りをもたらします。

グレネムッシュ

2018年登場。細かい型押しがされており、少し硬めの手触りが特徴です。やや光沢がありフォーマルな印象を持つため、バーキンやコンスタンスなどに使用されています。

上記の3素材は比較的新しいため、2003年に登場したエプソンよりも目にする機会は少ないかもしれません。しかし、エプソンの見た目や手触りが好みの方は、ぜひこれらの素材もチェックしてはいかがでしょうか。

バーキンのエプソンはどんなシーンにおすすめ？

バーキンは素材や色によりバッグの印象が大きく変わります。ここからはエプソンの持つ革の特徴やカラー展開に注目し、使用シーン別におすすめのバーキンを紹介します。バーキンの購入を考えてはいるものの、具体的にどのようなシーンで使えるかお悩みの方は、ぜひ参考になさってください。

フォーマルやビジネスに使いたい

エプソンの上品な質感と見た目は、ビジネスシーンにも華やかなイベントにもよく合います。フォーマルな場面では、外縫いのバーキンセリエの方が内縫いよりも適しているでしょう。

カラーは、定番色である黒やベージュの落ち着いた色がおすすめです。また、グレー系であるエタンも、マットな質感を持つエプソンとの相性がよく、シンプルなスーツによく似合います。

入学式などの式典やビジネスでの利用を考えている場合、書類が入る大きさのバーキンが好ましいです。バーキン30はA4サイズの書類が少しはみ出るため、バーキン35以上を目安に選んではいかがでしょうか。

大きいサイズのバーキンは型崩れの心配がありますが、張りがあるエプソンなら安心です。ただし、サイズが大きいとバッグ自体が主張して、コーディネートをまとめづらくなる点には注意しましょう。

ファッションアイテムとして使いたい

エプソンは適度な張りや艶感があり、どのようなファッションにもよく馴染みます。

ファッションアイテムとしてバーキンを選ぶ場合、バーキン30以下の小ぶりのサイズがおすすめです。ミニサイズのバーキンはアジア人女性の体型に合わせやすく、スタイルをよく見せる効果もあります。

エプソンはほかの素材に比べ、発色がよく、色ムラが少ないため、カラーバリエーションも豊富です。定番の黒やダーク系の色だけでなく、くすみカラーやポップなパステル色まで展開されており、コーディネートの差し色としても活躍するでしょう。

日常使いとして使いたい

エプソンは水に強く雨にも耐性があるため、デイリーに使いたい方にもおすすめの素材です。ダメージにも比較的強いですが、傷が付くと白っぽくなる点に注意しましょう。デイリーユースを考えている場合は、濃い色よりも薄い色を選ぶと、傷が付いても目立ちません。

バーキンを日常的に使う場合、バッグ自体の重さも考えてサイズを選ぶ必要があります。革素材はそれだけで重量があるため、容量が大きいバッグほど便利というわけではありません。

当店ベティロードでアンケートを行った際も「バーキン自体の重量が思っていたよりもあったので、できることならサイズを変更したい」とのリアルな意見が寄せられました。エプソンはエルメスの革素材のなかでも比較的軽量のため、日常使いのバーキンを選ぶ際はぜひ選択肢に入れてみてください。

長く愛用したい

エプソンは革素材のなかでも経年劣化が少なく、丁寧な扱いと普段のお手入れによりいつまでも美しい形を保ったまま使用できます。しかしその一方、時間を掛けて革製品の変化を楽しみたい方には向かない素材でもあります。

経年による変化がほとんどないエプソンは、型崩れもしにくいため新品同様の状態を長く楽しめます。水にも強い特徴から、ほかの素材よりお手入れが簡単な点もメリットです。

しかし、丈夫な素材とはいえ、長く愛用するためには傷や型崩れをあらかじめ防ぐ工夫も必要です。ハンドルにツイリーやカバーを巻くなど、ちょっとした工夫をするだけで皮脂や汗などの汚れを防げます。

バーキンのエプソン素材のお手入れ法は？

エプソンはエルメスの革素材の中でも経年劣化が少なく、丁寧な扱いと定期的なお手入れにより、いつまでも美しい状態のまま使い続けることができます。日常的なお手入れと保管の方法は以下の通りです。

市販の革製品用のクリームやスプレーを使ったお手入れ方法もありますが、革質の変化や色ムラが起こる恐れがあるため、使用は控えることをおすすめします。

気になる傷や汚れがある場合は、自己判断でメンテナンス用品を使う前に、エルメス直営店に相談してみましょう。

バーキンのエプソンを使ったレアモデル

流通量が少なく希少価値が高いバーキンのなかでも、限定モデルのレアバーキンはなかなかお目にかかることができません。扱いやすい素材であるエプソンを使っているレアバーキンも多く、素材の特性と新たなデザインのコンビネーションは思わず見惚れる逸品です。ここではエプソンを素材に使った希少モデルをいくつかご紹介します。

バーキンセリエ レインボー

バーキンセリエ レインボーはその名の通り「虹」を模したレアモデルです。華やかな色の組み合わせは、エプソン素材の発色の良さを存分に堪能できるでしょう。

バーキンセリエ レインボーは2パターンあり、カラー配色は上から順番に、以下のようになっています。

女性らしい明るいトーンの配色ですが、外縫いデザインによりシャープな印象も併せ持ったバーキンです。

バーキン カザック

2012年に登場したバーキン カザックは、複数のカラーが目を引く、まるでパーソナルオーダー品のようなバーキンです。

さまざまな配色や組み合わせがありますが、なかでも明るいエルメスの遊び心が感じられるトリコロール配色が印象的です。

カザックシリーズはピコタンロックでも展開されています。興味がある方はそちらもぜひご確認ください。

バーキン キャンディ

バーキン キャンディは2011年春夏コレクションで登場しました。可愛らしいパステルカラーが特徴で、エプソン素材限定のレアモデルです。

内側と外側で異なる色が使われており、ステッチは白で統一されています。エプソン素材ならではの鮮やかな色彩により、コーディネートのポイントとして人気です。

異素材MIXのバーキン

バーキンタッチやバーキントレサージュのように、バーキンには異種素材を組み合わせたモデルも多く展開されています。

異素材MIXのバーキンはエルメスの職人技が光る特別な逸品です。バーキンタッチ以外にも、レザーとトワル素材、レザーとハラコの組み合わせなど、ハッと目を引くコンビネーションもあります。

まとめ

今回ご紹介したエプソンは、雄仔牛のレザーをプレス加工した硬めの人気素材です。

ダメージや水濡れにも強い特徴があり、耐久性が高く型崩れも起こりにくい素材のため、バーキンの美しいフォルムを長く楽しむことができます。素材により見た目や使用シーンも大きく変わるため、バーキンを選ぶ際は素材にも注目してみてはいかがでしょうか。

当店ベティーロードでは、エプソン素材のバーキンも多く取り扱っております。張りのある硬さと、発色の良さを楽しみたい方はぜひエプソン素材のバーキンもご検討ください。