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時計
2025/9/20

物語のある時計と出会う―レディースウォッチに息づく時の記憶

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物語のある時計と出会う―レディースウォッチに息づく時の記憶

時計を選ぶとき、ただ「時間を知る道具」としてではなく、「自分だけの物語」を重ねたいと思ったことはありませんか?流行やブランドの知名度ではなく、心を動かす背景やストーリーに惹かれてしまう。きっと誰にでも、そんな瞬間があるはずです。

筆者もまた、そんな想いに導かれて、多くの腕時計たちと出会ってきました。創り手の想い、受け継がれた技術、身に着ける人の人生。時計の針が刻むのは、時の流れだけではありません。

本当の意味で「一生もの」と呼べる1本に出会うヒントを、ここで一緒に見つけてみませんか?

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この記事を書いたのは…

スタッフ上村

上村(UEMURA)

腕時計専門店ジャックロード・ベティーロードの入社13年目スタッフ。CWC認定 上級ウォッチコーディネーター資格保有。愛用時計はブレゲのクラシックやジャガー・ルクルトのレベルソ・ワンのほか、1950〜60年代のヴィンテージウォッチもこよなく愛する。ベティーロードの公式Instagramでは“天の声”役でインスタライブに出演中!

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筆者が出会った“物語を紡ぐ”時計たち

カルティエ サントスオクタゴン

日々たくさんの時計に触れていると、ふと「心に残る1本」に出会うことがあります。

最初は強い直感から始まり、調べていくうちにその時計の持つ背景やエピソードに触れ、気づけばますます惹かれていく。そうした出会いによって、時計の世界の奥深さを幾度となく教えられてきました。

ここでは、筆者がこれまでに特に心を惹かれた“物語を感じる時計”をいくつか取り上げてご紹介したいと思います。選ぶ楽しみの1つとして、時計との向き合い方がちょっとだけ変わる―― そんなきっかけになれば嬉しいです。

空への憧れを刻んだパイオニア

筆者の心に、静かに灯り続けている時計があります。それが、カルティエの「サントス」。

名作として広く知られるこの時計には、あまり語られることのない哀しくも美しいストーリーが、そっと息づいているのです。




空への憧れを刻んだパイオニア
カルティエ

【サントス】
CARTIER Santos de Cartier

時は1904年、花の都パリ。街を歩く人々の視線は空に向けられ、飛行船や飛行機の開発競争が熱を帯びていました。誰もがまだ見ぬ「空の時代」に心を躍らせていたのです。

そんななかで英雄となったのが、ブラジル生まれの飛行家アルベルト・サントス=デュモンでした。彼は操縦中、懐中時計を取り出すわずらわしさを友人ルイ・カルティエに打ち明けます。

「空を飛ぶために、腕に着けられる時計が必要だ」

この一言から生まれたのが、のちに「サントス」と名付けられる腕時計です。世界初の「空を飛ぶ人のための腕時計」は、同時に現代的な男性用腕時計の原点となりました。

1920年代に製造された、非常に希少なヴィンテージ サントス
1920年代に製造された、非常に希少なヴィンテージ サントス

1911年の一般販売開始以降、角型ケース、ベゼルのビス、ローマンインデックス…これらのデザインコードは、今もカルティエの遺伝子として脈々と受け継がれています。

サントス=デュモンは軽やかに飛行船を操り、ヨーロッパで初めて人前での動力飛行を成功させた英雄となりました。地上の人々が憧れる「空の紳士」の腕に輝く角形の時計は、単なる道具を超えて夢と自由の象徴だったことでしょう。

―― ここまでは、多くの人が知るサントス=デュモンの物語です。

けれど彼には、あまり語られることのない晩年があります。健康状態が悪化するなか、サントス=デュモンは自身の人生の夢を託した飛行機が、戦争で多くの人々の命を奪う兵器として使われ始めた現実に深く苦悩します。そして最期は自ら人生の幕を閉じたと伝えられているのです。

それまでサントスを「名作時計の1つ」として眺めていた自分にとって、この逸話は小さな衝撃でした。少年のような心で、空への冒険に心を躍らせたであろうその想いが、あまりにピュアに感じられて…。哀しい結末だったからこそ、この無垢な夢の美しさが、今も鮮やかにこの時計に息づいているように思えてなりません。

サントスの時計は現行ラインとして今でも愛され続けていますが、筆者が特に好きなモデルは「サントス ドゥモワゼル」です。

サントス・デュモンが開発した単葉機「ドゥモワゼル(お嬢様)号」にちなんだこの時計。ドゥモワゼル号は、それまでの飛行機とは一線を画す軽やかで洗練された美しい機体でした。空を舞うその姿は、まさに優雅さそのものだったのでしょう。

カルティエは2005年、サントスウォッチ生誕100周年を記念し、この「ドゥモワゼル号」に敬意を表してレディースコレクション「サントス ドゥモワゼル」を発表しました。エレガントで洗練された女性たちに捧げられたこのコレクションには、サントス=デュモンの愛機と、その美しい機体への想いが深く込められています。

残念ながら生産終了となって久しい時計ですが、中古市場では今も多くの女性に支持され続けています。筆者にとってもいつか手にしたい憧れの時計の1つです。

カルティエ サントス ガルベ LM Ref.W20011C4
カルティエ サントス ガルベ LM Ref.W20011C4

同じく生産終了モデルになりますが、1980年代後半から2000年代にかけて流通したサントス ガルベも、ヴィンテージ感のあるカルティエウォッチとして大変な人気を誇っています。

もちろん現行モデルでも、日常使いしやすいサントス・デュモンのクオーツモデルをはじめ、さまざまなサイズとスタイルのサントスが展開されています。

ふと腕を眺めたとき、この時計に込められた"飛行への憧れ"と、空を愛し続けた一人の夢追い人の人生に想いを馳せる。それは単に時を知る以上の、深い喜びを与えてくれるのではないでしょうか。

王妃たちの物語を伝える腕時計

物語のある時計の魅力を語るとき、実在の人物の人生に重ね合わせた時計ほど、リアリティーをもって胸に響くものはないのではないでしょうか。

なかでも、それが歴史に名を遺す王妃や貴婦人であれば、なおさらです。華やかな宮廷生活、愛と政治に翻弄された運命、そして時代を超えて語り継がれる美への情熱…。そうした女性たちの物語は、時計というかたちでも現代に受け継がれ、私たちの日常にも特別な輝きを与えてくれます。

ここでは、歴史上の王妃たちにまつわる3つの時計をご紹介します。




王妃たちの物語を伝える腕時計
ブレゲ

【クイーン・オブ・ネイプルズ】
BREGUET Reine de Naples

時は19世紀初頭、ナポレオンが皇帝として君臨していた時代。その妹カロリーヌ・ミュラは、兄の勢力拡大とともにナポリ王妃となった女性でした。権力闘争や愛憎劇に翻弄された彼女の人生は、まるで壮大なドラマのよう。その一方で芸術の庇護者としても知られ、天才時計師アブラアン=ルイ・ブレゲに数々の時計を注文しています。

ブレゲの製造台帳には、1810年6月8日付で彼女から依頼された“特別な2点”の時計が記録されています。1つは複雑機構を備えたキャリッジウォッチ。そしてもう1つが、極薄の機構に温度計を組み込み、髪の毛と金の糸をより合わせたブレスレットで腕に留めるという、大変に手の込んだリピーターウォッチでした。

興味深いことに、この時計は後に修理を受けたことまで記録に残されています。1849年、パリ在住のラスポーニ伯爵夫人からNo.2639の腕時計が修理のためブレゲへと送られました。ラスポーニ伯爵夫人とはカロリーヌの娘ルイーズであり、王妃の腕時計は娘へと受け継がれ、歴史に翻弄された家族の絆を宿した存在であったことを物語ります。

残念ながらこの時計は現存していないそうですが、幸いブレゲの製造台帳にはその特徴や製作工程が細かく記録されており、こうしたアーカイブを丁寧に読み解くことで現代に蘇ったのが「クイーン・オブ・ネイプルズ(ナポリの王妃を意味する)」コレクションです。

カロリーヌ・ミュラの時計を現代的に再解釈して誕生したこの時計は、優雅で女性らしい美しさと、時代を超える独創性を表現し、200年以上前の物語を今もなお格調高く語り継いでいるのです。




王妃たちの物語を伝える腕時計
ショーメ

【ジョゼフィーヌ】
CHAUMET Josephine Aigrette

同じくナポレオンの時代、その妻となったジョゼフィーヌは、今なお人々を魅了し続ける女性です。名家に生まれ、最初の結婚で2児をもうけた彼女は、フランス革命のなかで夫を亡くし、自らも投獄されるという波乱に満ちた人生を歩みました。やがて運命の出会いとなるナポレオンに見初められ、皇后の座へと上り詰めます。

ジョゼフィーヌは、美貌はもちろんのこと、優雅な立ち振る舞いや洗練されたファッションセンス、社交的な魅力と機知に富んだ会話で多くの人々を惹きつけました。ナポレオンもまた彼女に深く心を奪われ、数々の情熱的なラブレターを残しています。

しかし、2人の愛は常に順風満帆とはいきませんでした。奔放なジョゼフィーヌに振り回され、彼女がようやくナポレオンを深く愛するようになった頃には、すでに彼の心が離れつつあった―― そんなすれ違いの末、後継者を得るために彼女は離婚という選択を強いられます。

それでも、ナポレオンにとって彼女は特別な存在であり続けました。最期のとき、彼が口にした言葉が「ジョゼフィーヌ」であったと伝えられているのは、あまりに有名な逸話です。

さて、そんな愛すべき皇后ジョゼフィーヌにオマージュを捧げて生まれたのが、ショーメの「ジョゼフィーヌ」コレクションです。そのデザインは、荘厳な戴冠式を彩ったティアラや、彼女が好んだ羽根飾り“エグレット”など、当時ジョゼフィーヌのために創業者マリ=エティエンヌ・ニトが手がけた作品に着想を得ています。

ジョゼフィーヌの愛したモチーフを丁寧に閉じ込めたこの時計は、彼女が生涯をかけて貫いた美意識を静かに映し出しているよう。歴史に翻弄されながらも、凛として華やかに生きたひとりの女性の物語が、この時計を美しく象っているのです。




王妃たちの物語を伝える腕時計
ヴァンクリーフ&アーペル

【カデナ】
VAN CLEEF & ARPELS Cadena

ヴァンクリーフ&アーペル カデナ ウォッチ
ヴァンクリーフ&アーペル カデナ ウォッチ

20世紀のヨーロッパに、一途な愛のために王冠を捨てた王様がいました。英国王エドワード8世です。彼がすべてを投げうって選んだ相手は、アメリカ生まれの社交界の華、ウォリス・シンプソン。離婚歴のある彼女との結婚は王室にとって看過できない問題となり、最終的にエドワード8世は王位を退くという決断を下しました。

この「王冠をかけた恋」は世界中に衝撃を与え、今なお“世紀の大恋愛”として語り継がれています。

退位後、ウォリスはウィンザー公爵夫人として社交界に君臨し、唯一無二のスタイルを確立していきました。そんな彼女の美学と人生にインスピレーションを受けたといわれるのが、ヴァン クリーフ&アーペルの「カデナ」ウォッチです。

ヴァンクリーフ&アーペル カデナ ウォッチ
ヴァンクリーフ&アーペル カデナ ウォッチ

当時、“社交の場で時計を見るのは優雅さに欠ける”とされた時代。そこで考案されたのが、一見ジュエリーのように華やかなシークレットウォッチです。斜めに傾いた小さな文字盤は、装着した本人だけが時刻を確かめられるよう工夫されていました。ほんの一瞬、腕元に視線を落とす仕草は、まるで流し目のように余韻を残し、女性のエレガントな振る舞いにさりげない艶を添えていたのかもしれません。

公には王妃になれなかったウォリス・シンプソンは、まさに「幻の王妃」と呼びたくなる存在。現在でもヴァン クリーフ&アーペルを象徴する時計の1つとして愛され続けるカデナウォッチには、彼女の追い求めたエレガンスが静かに息づいているようです。

物語を継承するヴィンテージウォッチたち

1960年代製 ハミルトン レディ ハミルトン Ref.96619
1960年代製 ハミルトン レディ ハミルトン Ref.96619

物語のある時計の魅力は、王侯貴族のような華やかな存在だけに限られません。名もなき人々が遺した小さな痕跡にも、確かに胸を打つリアリティーがあります。

ここからご紹介するのは、筆者も大好きなヴィンテージウォッチたちの物語。裏ぶたに刻まれた名前や、傷の1つひとつ―― そうしたものから静かに伝わってくるのは、かつてその時計を身につけていた誰かの人生そのものです。

市井の人々が歩んだ時間は、世に大きく名を残すことはなくとも確かに存在し、美しい経年変化とともに、いま私たちの手に受け継がれています。ここでは、そんなヴィンテージウォッチたちの魅力をご紹介します。




物語を継承するヴィンテージウォッチたち
ハミルトン

【カクテルウォッチ】
Hamilton Cocktail Watches

1950年代のハミルトン社製ヴィンテージ カクテルウォッチ
1950年代のハミルトン社製ヴィンテージ カクテルウォッチ

ヴィンテージと呼ばれる時計たちは、身近な愛の物語を静かに見守ってきました。1950年代のアメリカ、ハミルトンのカクテルウォッチに託されたストーリーは、その象徴の1つです。

当時のアメリカでは、女性が時計を自分で購入することはまだ一般的ではなく、パートナーから贈られる「ギフト」として手にするのが主流でした。実際に当時のハミルトンの広告には、「愛する人に贈るハミルトン」といったコピーが多く見られ、贈り物としての価値が強く打ち出されていました。
 

アメリカを代表する時計メーカーであったハミルトンが生み出す、優美なカクテルウォッチは、女性たちの憧れの存在。そのためでしょうか、レディ ハミルトンをはじめとする当時のモデルには、時計という実用品を超えた“あたたかな物語”が息づいているように思えるのです。
 

大切な人から贈られたからこそ、丁寧に扱われ、長く愛用され、やがて次の世代へと受け継がれてきた―― 。そんな背景があるからこそ、これらの小さなタイムピースには、今もなお不思議な温もりが宿っているのかもしれません。

筆者が選んだ1960年代製ハミルトン プラチナウォッチ
筆者が選んだ1960年代製ハミルトン プラチナウォッチ

筆者自身も、結婚という人生の大きな節目に、記念品としてハミルトンのカクテルウォッチを手にしました。
 

小ぶりで繊細なその時計は、どこか先輩のような頼もしさと温かさを感じさせ、新しい人生を静かに見守ってくれる“お守り”のような存在に。以来、家族の記念日やセレモニーなど、特別な日には決まってこの時計を選んでいます。幸せな記憶が増えるたびに、その思い出を一緒に重ねてくれるようで、ますます愛着が深まっていくのです。
 

ヴィンテージウォッチには、単なるモノを超えて、意味や想いを大切にするような選び方がよく似合う―― そんな風に感じています。




物語を継承するヴィンテージウォッチたち
ルシアン ピカール

【フルーツバスケット】
LUCIEN PICCARD Fruit Basket

ルシアン ピカール 1950年代ヴィンテージウォッチ
ルシアン ピカール 1950年代ヴィンテージウォッチ

今まで数多くのヴィンテージウォッチに触れてきたなかで、筆者にとって忘れられない1本があります。それが、1923年に創業したスイスのウォッチメーカー、ルシアン ピカールによる、まるで宝石箱をひっくり返したような、色彩豊かなマルチジェムウォッチです。

手に取った瞬間、ふと脳裏をよぎったのは「リガードジュエリーかもしれない」という想像でした。リガードジュエリー(Regard Jewelry)とは、ヴィクトリア朝時代に流行した、宝石の頭文字でメッセージを表現するロマンチックなジュエリーのこと。

たとえば、Ruby(ルビー)、Emerald(エメラルド)、Garnet(ガーネット)、Amethyst(アメジスト)、Ruby(ルビー)、Diamond(ダイヤモンド)の順で「REGARD(愛情)」を、あるいはDiamond(ダイヤモンド)、Emerald(エメラルド)、Amethyst(アメジスト)、Ruby(ルビー)、Emerald(エメラルド)、Sapphire(サファイア)、Topaz(トパーズ)で「DEAREST(最愛の人)」といった愛のメッセージを美しい宝石に託していたのです。

この時計で印象的だったのは、12時と6時位置に配された、ブランドのアイコンでもあるパールの存在。実際にリガードジュエリーを意識して作られたものかは分かりませんが、もしこの宝石に意味があるとすれば、ダイヤモンドをあえてパールに置き換えてどんな言葉を綴ろうとしたのか―― そんな想像がまた、ロマンをかき立てます。

まるで謎解きのように、時計からかつてのストーリーを読み取りたくなってしまう。そんな“想像の余白”こそが、現行品にはないヴィンテージウォッチの大きな魅力ではないでしょうか。

ちなみに、この時計との出会いは十数年間でこの一度きり。だからこそ、たった1つの物語を宿すような一期一会の出会いに、今もなお心がときめくのです。



物語を継承するヴィンテージウォッチたち
裏ぶたに刻まれた「人生」という物語

The Life Etched on the Caseback

ロレックス 1950年代 プレシジョン
ロレックス 1950年代 プレシジョン

ヴィンテージウォッチを扱っていると、ときどき裏ぶたに刻印のある時計に出会うことがあります。そこに残された文字は、名前や日付など一見シンプルなものですが、その奥にある持ち主の歩んできた人生や当時の時代背景までもが、静かに浮かび上がってくるのです。

たとえば、あるロレックスの裏ぶたには、こんなメッセージが刻まれていました。

裏ぶたに刻まれたメッセージ
裏ぶたに刻まれたメッセージ

「エルシー・G・スミス嬢へ、ジョンズ、サン&ワッツ社より。40年間の勤続への感謝を込めて」

この刻印からは、彼女が1915年―― 第一次世界大戦のさなかに働き始めたことが読み取れます。女性の社会進出がまだ一般的でなかった時代に、同じ会社で40年間勤め上げたという事実。それは、並々ならぬ信頼と努力の証であり、その人生に対する尊敬がにじみ出ているようです。

当時のイギリスでは、25年勤続を祝してロレックスやオメガ、ロンジンなどの金無垢時計を贈る文化があったといいます。この時計も、そんな風習のなかで贈られた1本なのでしょう。会社から贈られた小さな時計に、感謝と敬意がそっと宿っているのを感じます。

そして時計そのものも、大切に使われてきたことが伝わるような、美しい経年変化を見せていました。

当店のスタッフにも、こうしたヴィンテージウォッチを愛用している者がいます。裏ぶたにイニシャルと「Xmas(クリスマス)」と刻まれたロレックスを愛用しているのは、スタッフ田邉。

スタッフ田邉愛用のロレックス

裏ぶたに刻まれたイニシャルと“Xmas”の刻印
裏ぶたに刻まれたイニシャルと“Xmas”の刻印

彼は、愛用時計インタビューのなかで、こんなふうに語ってくれました。

「当時はまだ、時計が実用品というより宝飾品に近かった時代。だからこそ、こうしたヒストリーが強く宿る個体が多く見られるのがヴィンテージウォッチのロマンです」

こうした刻印に出会うたび、想像がふくらみます。その時計を贈ったのは誰だったのか。箱を開けた人は、どんな表情をしていたのか。もしかすると、場には自然と拍手が起こり、花束が添えられたのかもしれません。
 

名前も顔も知らない誰かの人生を、ほんの少しだけ垣間見たような―― そんな気持ちにさせてくれます。
 

“物語のある時計”とは、スペックやブランドの話だけではありません。自分と響き合うヴィンテージウォッチを見つけ、その時計が歩んできた時間に、今の自分の時間を重ねていく―― 。それは、時計選びにおいて、とても素敵であたたかな体験になるのではないでしょうか。

時計に物語を託すということ

いかがでしたか?

本記事では、さまざまな「物語を宿す時計」をご紹介してきました。そのなかに、あなたの心に響くエピソードはあったでしょうか?

最後に、筆者がとても好きな時計を1つご紹介させてください。それは、ジャガー・ルクルトの「ランデヴー」。

2012年に誕生したこのモデルは、ジャガー・ルクルトが手がけた本格的なレディース専用コレクション。その名前「ランデヴー(Rendez-Vous)」には、フランス語で「約束された出会い」や「待ち合わせ」といった意味が込められています。

“人生の特別な瞬間”との出会いを告げる時計であると同時に、時計そのものが新たな持ち主である女性と出会って、彼女のストーリーをその腕元で刻み始めるように―― 時計が女性の生涯に寄り添う大切な相棒となってほしいというメゾンの願いが込められています。

どんな時計を選んでも、あなた自身の腕元で物語は刻まれていく。大切な想いとともに過ごしていけば、やがてそれは“あなただけのストーリー”を秘めた1本になるはずです。

その、あなただけのたった1つの物語を、どんな時計に託したいですか?本記事が、そんな「選ぶ楽しみ」の一助となればとても嬉しく思います。

時計は時間を刻む道具であり、人生という限りある時間を静かに見守る存在でもあります。そして、本当に良い時計は、時を超えて次の世代へと受け継がれ、「物語」を語り継ぐストーリーテラーにもなり得ます。

一人の時計好きとして、あなたにとって“特別な1本”と出会えることを、心から願っています。

【記事内に登場した商品が見られる!買える!店舗&オンラインショッピング案内】

ベティーロードの店内。
ベティーロードの店内。ロレックス、カルティエ、シャネルなどの代表的なモデルから希少なヴィンテージウォッチまで、品揃えは日本最大級

ベティーロード(BETTYROAD)

東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ3F
JR中野駅北口徒歩5分
電話 [店舗] 03-3386-7550  [通販] 03-3389-1071
営業時間 11:00~20:00
店舗案内は こちら
オンラインストアは こちら

業界最大手!全国屈指の品揃えを誇る、レディースに特化したブランド腕時計・ジュエリー・バッグの専門店ベティーロード。創業30年以上の実績と信頼を誇る、並行輸入店の草分け的存在です。東京・中野ブロードウェイ3Fに店舗があり、ブランドジュエリー&バッグ店舗、姉妹店であるメンズ腕時計専門店ジャックロードも併設されているため、ご家族やご友人同士でご来店いただいてもみなさまにお楽しみいただけるラグジュアリー空間となっております。

半個室の商談スペースもあり、小さなお子さま連れのお客さまもゆったりとご覧いただけます。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

店内の在庫は常に変動しております。来店にて見たいモデルが決まっている場合、事前に店舗へ在庫を確認の上お越しいただくことをおすすめしております。

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